8月8日

 

運命の出会いを果たし、クリアアサヒを片手にほろ酔いの、または半ば放心状態であったあの日から、丸1年が経ったらしい。

 

 

真っ暗な谷底へ突き落とされ、光を辿って見上げると崖の上から微笑んでいたのは彼女だった。愛だと思った。なるほどここが愛の地獄。彼女の言った通りだ。恋ならとっくに始まってる…

静かに揺らめく青い炎のように、全てを覆う深い霧のように、妖しく光る白目に射抜かれて、私は狂おしい恋と出会ってしまった。

 

熱しやすく超冷めやすい私の、この1年間が彼女と共にあったことが信じられない。信仰心とはそういうものなのだろうか。たった今信仰に例えたが、この想いはそれとは異なる。そして、いつかくるであろう終わりを予感しながら今日もまた絶望している。

 

真っ白なものは汚したくなるなんて嘘だ。出来ることなら、滅菌されたショーケースにでも入れて真白なまま誰からも触れられないように大切に閉じ込めておきたい。

嘘。どう生きようが彼女の人生なので、どうぞ勝手にしてほしい。そこに他人の意見は必要ない。彼女が自分勝手に生きたところで、心配することなんてこれっぽっちもない。いつだって彼女は必ず正しい。

全てが自分とかけ離れているところが、この上なく魅力的で、それでいてこの上なく嫉ましい。彼女を思うと決まって死にたくなってしまうのだ。そしていつだって私を救うのは彼女の誠実さだった。

私の生死に関係なく清らかに佇む彼女が、今日もとても愛おしい。

 

 

おわりに

あなたを照らす光になりたいなんて、大それた願いはありません。これからあなたがゆく明るい未来に降りかかる不幸は全て、あなたの知らないところで私が身代わりになりましょう。私の未来にもきっと降り注ぐはずの幸せは全て、あなたと共にあります。あなたのゆく道がこの世で最も清く正しく美しい世界でありますように。

 

親愛なるあなたへ、お誕生日おめでとうございます。