盛夏の候、貴方はいかがお過ごしでしょうか。

 

運命だったあの日から2年が経ったらしい。あの日から、全てが変わってしまった。彼女は変わらないだろう。彼女を見つけることができなくなってしまった。世界はあっけない。

 

蓮の花が見頃を迎えている。春は桜を、夏は蓮を、盛りを迎えた花々を見ては彼女を思い出してしまう。

蓮は慈悲の象徴である。桜のような華やかさは持ち合わせないが、音を立てて綻ぶ姿は力強い。わたしは何よりも彼女の慈悲深さを愛している。彼女の言葉の端々に感じられる愛、彼女の力強い姿を愛している。

だが、それを感じることが今は叶わない。だが、蓮はどんな環境だろうと、咲く。世界がどうなろうが、今も変わらないだろう彼女に想いを馳せる。

いつだってわたしは祈ることしかできない。祈りに力はない。わたしが祈れば、また、わたしたちがみんなで祈れば、どうにかなったり、そんなことは起きない。それにきっともう元通りにはならない。それでもわたしは祈らないわけにはいかない。

貴方が、貴方をとりまくすべてが、どうかご無事で、どうか健やかでありますように。わたしの知らない、わたしの及ばないところで、変わらずに、陽の当たるあたたかな道を歩む貴方を思って、わたしは今日も祈っています。

 

 

親愛なる貴方へ

お誕生日おめでとうございます。